カリキュラム・学術研修

令和7年度事業計画

【1】学術研修計画

(1)入門部研修計画                   入門部担当 水戸尚子

入門部は二年間を1クールとして、漢方鍼医会の基礎となる学と術を身につけ研究部での研修に備えられるよう設けられています。令和7年度は入門部1年目になります。1年目は「蔵象論」を中心に、五臓六腑の生理と病理、病症と治療法を学んでいきます。また「漢方医学の基本思想」「治療の実際」「脈診」も学びます。(2年目では「診察法」「病因論」「選穴法」を学び、より実践的な臨床を身につけていきます。)   実技では繰り返しの講習により基本刺鍼、脈診法を深め、基本的な手技の確立と実際の治療の流れを学んでいきます。小里方式による実技も繰り返し行い、それぞれご自身のイメージした治療法を身につけていきます。

(2)研究部研修計画                  研究部担当 新井芙美法

今年度の学術年間研究テーマは大きな柱として3つ、「季節の中での漢方はり治療」「陽経と陰経の使い分け」「標治法」を掲げます。

「季節の中での漢方はり治療」一つ目の「季節の中での漢方はり治療」は昨年もおこなってきた研究テーマの一つですが、まだまだ浸透しきっていないようにも感じます。その原因とも考えられるのには、大きく2つあると考えています。

 ①「病理」の理解が乏しい 本会において重要な「病理」の概念が、「季節の中での漢方はり治療」では説明が今まで少なかったように思われます。暦による四時・五季・六気の主気については一定の理解を得ている一方、季節によって身体に起こる気・血・津液の変化の理解が追いついていないようです。暦に従うだけの選経選穴では、病理考察が不十分で病態把握がしきれません。今年度は主気及び客気が身体に与える病理変化も理解を深めていきたいと思います。

近年、異常気象が多く季節の治療がわかりづらい 暦によって季節は移ろい、天の気に対応すべく人体にも季節は投影され様々な変化が現れます。故に治療において季節は絶対的にある一定の影響を人体に与えるため、「季節の治療」はどんな人にも当てはまるものであると考えられます。そのため、季節の治療において「主気」について考察することは非常に重要であるため本会でも継続して検証・研究をしてまいりました。しかし近年様々な季節で起こる異常気象のため、主気の以外の影響を強く感じます。毎年のように起こる異常気象は「客気」として体調不良や発病を引き起こすものとして考慮しなければいけない段階へと進んでいるように感じます。今年度は「主気」だけではなく「客気」にもフォーカスを当て、さまざまな外界の環境変化に対応ができる「病理を考えた季節の中での漢方はり治療」の研究をしていきたいと考えています。

「陰経と陽経の使い分け」 この問題に関しては、本会においても長いこと終着する結論には至っておりません。今までは『難経』九難における脈の遅数をはじめ、様々な脈状診による腑病と臓病の見分け方を研究してきました。『脈経』には脈の浮沈、『察病指南』には脈の動静など、寸口脈の祖脈が陰陽どちらの要素が多いのか?ということを『陰陽脈診』として診察するように治療を組み立てていきます。脈状診から導き出す陰経と陽経の使い分けを模索してきましたが、更に精度を高めるべく、脈診はもちろんの事さまざまな角度からの「陰経と陽経の使い分け』の方法を研究をしていきたいと考えております。

「標治法」 症状を緩和させるためには標治法も重要な治療法です。本会において、子午治療・奇経治療・灸法などさまざまな標治法を取り入れて、治療をおこなっています。会員の皆が治療の引き出しを一つ二つと増やせる機会にも繋がります。実技の時間はもちろんのこと、発表の時間を設けそれぞれが得意とする様々な治療法も相互共有をしていきましょう。

研修会ではもちろん日々の臨床においてもこれらの事に意識を向け、漢方はり治療の精度をさらに上げていきたいと考えておりますので、是非ご協力をよろしくお願いします。

2025年度 年間カリキュラム

(1)入門部

4月 

10時〜    第31回漢方鍼医会 定期総会
10時30分〜 会長講演「陰陽脈診」 漢方鍼医会会長 新井敏弘 司会:田村佳津子

5月       

午前:「漢方医学の基本思想」 講師:水戸尚子 司会:
午後: 実技

6月  

午前:「治療の実際」 講師:青島崇裕 司会:
午後: 実技

7月 

午前:「肝の生理・病理(蔵象論のみ)」 講師:浅井利浩 司会:
午後: 実技

8月

休み

9月

午前:「脾の生理・病理」 講師:巻田明宏 司会:
午後: 実技

10月

午前: 「肺の生理・病理」 講師:加耒ひなこ 司会:
午後:   実技

11月

午前:「腎の生理・病理」 講師:水戸尚子 司会:
午後: 実技  

12月

午前:「意見交換会(研究部合同)
午後: 実技  

2月

午前:「心・心包の生理・病理(臓と臓の関係など)」 講師:谷内孝暢 司会:
午後: 実技

3月

午前:「脈診」 講師:新井康弘 司会:
午後: 実技

(2)研究部

4月 

10時〜    第31回漢方鍼医会 定期総会
10時30分〜 会長講演「陰陽脈診」  漢方鍼医会会長 新井敏弘  司会:田村佳津子

5月

午前:「古典における「神」の解釈、そして「九鍼十二原篇 第一」 講師:谷内孝暢 司会:中里康章

午後:実技

6月  

午前:「季節の中での漢方はり治療~気候変動と客気~」 講師:新井芙美法 司会:巻田明宏

午後:実技 

7月  

午前:「季節の中での漢方はり治療~運気と客気~」  講師:関野玲子 司会:関野玲子

午後:実技

8月

休み

9月

午前:「標治法」 講師:福島志乃 司会:加耒ひなこ

午後: 実技

10月

午前:「陰経と陽経の使い分け」 講師:青島崇裕 司会:新井康弘

午後: 実技

11月

午前:「押手と気の出力」 講師:新井芙美法 司会:伏見暢恵

午後: 実技

12月

午前:意見交換会「臨床話術〜患者の質問に鍼灸師はどう答える〜」 講師:吉田清隆  司会:新井芙美法
午後: 実技 

2月

午前:「標治法」 講師:浅井利浩  司会:大高達雄

午後:実技

3月

午前:「腹診について」 講師:斉藤太誉  司会:細沼弘

午後:実技

入会・聴講案内

 

 入会・聴講案内           

漢方はり治療
  1. 研修会

    漢方鍼医会5月本部研修会案内
  2. 研修会

    12月本部研修会
  3. 研修会

    11月本部研修会案内(Zoomオンラインよる講義)
  4. 研修会

    10月本部研修会
  5. 研修会

    3月本部研修会
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